慈恵 季刊誌
季刊誌 慈恵より お話をいただいた
獣医師先生の 投稿の紹介をさせていただきます
小学校で
(社)東京都獣医師会
学校飼育動物担当理事 中川 美穂子
シルフイ- 頑張れ と応援したけど、シルフイ-は 息も少ししかしなくて、
今にも死にそうでした。でも 僕たちは、ただ いのるしか できなくて
ほかに 何もできなくて、とても悲しくて、きんちょうして、しかも
歯がゆかったです。 これは、みんなで かわいがって 世話をした
チャボのシルフイ-が 肺がんの 末期で倒れたときの、4年生の
作文です。子どもたちは、倒れているシルフイ-の 周りに群がり、
往診にきた 学校獣医師の 顔を みたとたん、悲鳴のように口々に、
僕たち 何をしてあげられる? 何したら良い? と すがり付いてきました。
もう3ヶ月も 前から、シルフイ-が 一日でも 永らえるようにと
助言をしてきた 獣医師は、なすすべもなく 家族に見せて あげようか?と
つぶやきました。そのとたん、誰かが 連れてくる! と叫んで すっ飛んで
夫のイエロ-を 迎えにいきました。子どもたちに 抱えてこられた 夫の
イエロ-は、緊迫した顔で、なんと 倒れたシルフイ-の 真近に ついて、
じいっと 妻を見つめ、そして、そばに立った 子どもが 動いたとたんに、
キツと その子を にらみました。その 必死な 夫をみて、子どもたちは
神妙な声で やっぱり夫だねえ シルフイ-は入院するからね と 褒めます。
一度は 持ち直し、職員室で 子どもたちの 手厚い 終末看護を うけた
シルフィーも、とうとう 10日後に 力尽きました。子どもたちは、
看護の仕方を あれが悪くて 死んだか? これが悪かったか? と
嘆きますので、獣医師は 死因を調べて 肺がんだから、死ぬのは
仕方なかった と 子どもたちに 説明し、なぐさめました。その日、
世話した 4年生 と 5年生 全部の子が 遺体を抱いた後、手紙を
どっさり添えて、シルフィーを 動物病院に 届けました。その手紙と
シルフィーの遺体は、次の日に 慈恵院で 焼いていただきましたが、
そのときの 手紙の大部分には、思い出をありがとう 苦しかったのに
がんばってくれて ありがとう やさしくしてくれて ありがとう
そして お世話ができて うれしかったよ 家族は 大事にするからね と
別れの 言葉が 書かれていました。シルフィー、あなたの命は
アレックス と ホワイテイ と ブラック の 子どもたちに
引き継がれて、あんなに 別れの手紙を もらって 幸せだったね。
慈恵院
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