慈恵 季刊誌
季刊誌 慈恵より 読者 蛭田美千代さんよりの
投稿の紹介をさせていただきます
ロ-ラと過ごした日々
小平市 蛭田美千代(66)
あの日からもう三か月が過ぎました。6月29日午後、17年7ヶ月の
生涯を閉じたロ-ラとは ずうっと一緒に寄り添って きましたが
まだ別れは先にと願い祈っていました。家族の一員として いつも
団欒の中心にいてワンワンとほえることが ほとんど無く うんうん
といって甘えてきた。最後の時は関節の痛みでワンワンと鳴き通し、
だんだん弱弱しくなっていく その声が いつまでも耳に残っている。
ロ-ラと過ごした日々、自然公園への散歩の時の写真や家で子供たちと
戯れているアルバムを見ていると 傍らに気配を感ずることがある。
ロッキ-とラッキ-というきょうだいで生まれ、ロッキ-は病死し
二匹の頭文字をとりロ-ラと名づけられ 生後4ヶ月で 我が家に来た。
若いころは かなりやんちゃで ベランダ伝いに屋根に上がってしまい
下で近所の子供たちが わいわい騒いでいた ことなど 今では懐かしい
思い出になっている。思春期だったころ 長女が背中に寄せて じっと
一緒にいてくれたこと、そのロ-ラのぬくもりが体に広がっていき
心が やわらかくなり 落ち着いてきたのだと、いつもそうして
助けられて いたのだと 初めて涙ながらに 話してくれた。
仕事を持つ 母親に代わり 子供たちを見守っていてくれたのだと
思う。子供たちと共に 成長し、そして老い まさに家族と共に
あった。私も仕事を離れて6年、この間 老齢のロ-ラに
寄り添い 静かに ゆったりと過ごす事が出来たのは 本当に
よかったと思っている。そこには何の欲も無く あるがまま
マイペ-スで生きる姿に 心地よささえ感じていたのです。
晩年は近所の幼子たちの 遊びの相手をしたり、近所の ねこたち
から額と額を つけて 挨拶をしてもらったりと なんとも不思議な
光景でした。最後の1月は寝たきり状態になり、体を起こし歩くことが
出来ないことを 悟ったときの あの悲しげな表情には 胸がいっぱいに
なった。いつも傍らにいてほしいとの訴えに 精一杯答えようと思い、
日夜看護をしながら 必ず訪れるであろう死を どう受け止めるのか、
正直 その間際まで 覚悟は出来なかった。ただ人為的な延命だけは
したくない と考え ロ-ラの慣れ親しんだ 環境で見守ろうと
思っていた。動物との共生の中で あまりにも擬人化していると
思われそうだが、慈しむ心 は大切に抱いて生きたい と思う。
ロ-ラも 今は痛みから解放され 自由に原っぱを 駆け廻っている
のだと想像し、思いをはせている。ありがとうの ことばと共に。
そして この喪失感を乗り越え、楽しかったことや 失敗した ことも
大切な思い出として 私たち家族も 新たな一歩を 踏み出そうと
話し合っている。
慈恵院
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